Renin | |||||
腎糸球体輸入動脈壁 にある 傍糸球体細胞(JG cell) から分泌される蛋白質分解酵素. アンジオテンシノーゲン の -Leu-Leu- 結合を特異的に加水分解し アンジオテンシンT を生成する. |
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Angiotensinogen | |||||
肝で生合成される分子量 60,000程度の糖蛋白質. 血清α2-グロブリン分画中に存在し N末端 から 10番目までの一次構造中に アンジオテンシンT を含む. (レニン基質) |
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Angiotensin | |||||
アンギオテンシン,アンジオテンシン (アンギオトニン,ハイパーテンシン) AngiotensinT レニン により アンジオテンシノーゲン から切り出される デカペプチド. 生物学的な活性は見出されていない. ヒトの アンジオテンシンT は Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-His-Leu から成り, (ウマ,ブタ では ヒト と同一. ウシ,ヒツジ では 5番目のアミノ酸が Ile ではなく Val) AngiotensinU アンジオテンシンT の C末端 から -His-Leu が遊離したもの. 分子量あたりでは最も強い昇圧活性を有する. ・抹消血管の平滑筋に直接作用するとともに,血管運動中枢を介して昇圧作用を発現 ・副腎皮質球状層に作用して アルドステロン の生合成,分泌を促進 ・バソプレッシン の分泌を促進 AngiotensinV アンジオテンシンU の N末端 から Asp- が遊離したもの. ( [des-Asp] AngiotensinU) Uの1/2程度の昇圧活性と Uと同等のアルドステロン分泌促進作用を有するとされる. これらは アンジオテンシナーゼ と総称される酵素群により不活化される. アンジオテンシナーゼ による アンジオテンシンU 加水分解部位 |
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ACE (Angiotensin Converting Enzyme) = KininaseU | |||||
二者は同一の酵素(ジペプチジルカルボキシペプチダーゼ) であり,以下の反応に関与する. ・アンジオテンシンT を U に変換 ・キニン を加水分解し 不活化 アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI) は 昇圧物質である アンジオテンシンU の 生成を抑制すると同時に,降圧物質である キニン の分解不活化を抑制する. 一方で ACE 以外の酵素による アンジオテンシンT→U への変換も知られているが, ACEI はこれらの反応を抑制しない.
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Kallikrein (Kininogenin,Kininogenase) | |||||
キニノゲニン,キニノゲナーゼ とも呼ばれ,以下の存在形態が知られている. ・腺性カリクレイン (膵由来 :分子量 約30,000) 膵,唾液腺,顎下腺,汗腺,涙腺,副性腺 等の外分泌腺に存在する 血漿中の 低分子キニノーゲン(分子量 約48,000) に作用して カリジン を遊離する ・血漿カリクレイン (主に肝由来 :分子量 約80,000) 血漿中に不活性な プレカリクレイン(Prekallikrein) として存在し, 血液凝固第Z因子(ハーゲマン因子)等を介してその活性化が行なわれる 高分子キニノーゲン(分子量 約76,000) に作用して ブラジキニン を遊離する ・腎性カリクレイン (腎由来 :分子量 約30,000) 腎組織の細胞内顆粒中に存在する (尿中にも存在) メチオニルリシルブラジキニン(Met-Lys-Bradykinin) を遊離する カリクレイン は 弱アルカリ性条件下 で キニノーゲン に作用して キニン を遊離するが, 弱酸性条件下では アンジオテンシノーゲン に作用して アンジオテンシンT,U を遊離する. (アンジオテンシノーゲン から直接 アンジオテンシンU を遊離する) 同一の酵素が条件に応じて相反する作用を有する物質の産生に関与することは興味深い. ※末梢循環障害の改善を目的とした製剤が上市されている (カリジノゲナーゼ) |
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Kininogen | |||||
肝で生合成される糖蛋白質. 血清α2-グロブリン分画中に存在する. 哺乳動物の血中には 分子量 及び 機能 の異なる 2種類の キニノゲン が存在し,それぞれ 高分子キニノゲン(分子量 約76,000),低分子キニノゲン(分子量 約48,000) と呼ばれる. |
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Bradykinin,Kallidin (Kinin10) | |||||
キニノーゲン から カリクレイン,トリプシン あるいは 蛇毒プロテアーゼ により遊離される 活性ペプチド. 血圧降下作用,平滑筋収縮作用,膜透過性更新作用 等 を示す. カリジン(リシルブラジキニン) は血中の アミノプロテアーゼ により ブラジキニン となる. (ブラジキニン は 9個,カリジン は 10個のアミノ酸から成る)
あるいは単に キニン と総称する. |
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Kininase | |||||
キニン の不活化に関与する酵素群を キニナーゼ と総称する.
いわゆる アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI) により活性阻害を受ける. |
AT1受容体 | AT2受容体 | ||
中枢神経系 | 交感神経活性化 バソプレッシン(抗利尿ホルモン)分泌促進 飲水・食塩嗜好 圧受容体反射抑制 |
神経細胞の分化・アポトーシス | |
末梢神経系 | ノルエピネフリンの放出促進・再呼吸抑制 | ||
循 環 器 系 |
心 臓 | 血圧上昇 心筋収縮力増大 心筋細胞肥大・心肥大 繊維芽細胞増殖・細胞外マトリクス産生更新 |
血圧低下 心筋細胞肥大抑制 繊維芽細胞増殖抑制 |
血 管 | 血管収縮 平滑筋細胞収縮増強・肥大 繊維芽細胞増殖・細胞外マトリクス産生更新 内皮細胞増殖促進 |
血管拡張 平滑筋細胞増殖抑制 繊維芽細胞増殖抑制 内皮細胞増殖抑制 |
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腎 臓 | 水・Na 再吸収促進 レニン分泌抑制 |
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副腎皮質 | アルドステロン分泌促進 | ||
副腎髄質 | カテコールアミン分泌促進 | ||
・アンジオテンシンU AT1受容体拮抗剤 により 血中アンジオテンシンU 濃度は上昇し, 遮断されていない AT2受容体 を刺激する (作用の二面性:AT1受容体の遮断 / AT2受容体の刺激) [ 医J Vol.35 No.10 p.2536 ] |
臨床と薬物治療 Vol.20, No.06 (2001) 672-677:河野 晴一:治療計画のための薬理学−ACE阻害薬,AU受容体拮抗薬 |
医薬ジャーナル Vol.36, S-1 (2000) 67-75:浅香 清一, 竹林 淳:アンジオテンシンU受容体拮抗剤 |
Medical Tribune Vol.33, No.8 (2000) 20-:荒川規矩男:組織RA系とACEによらないAU産生系の発見 |
医薬ジャーナル Vol.35, No.10 (1999) 2533-2539:藤田 信輔, 壬生倉 徹志 他:アンジオテンシンU受容体(AT1,AT2)拮抗薬の薬理作用 |
東京化学同人:生化学辞典 第1版 (1984) |
講談社:医科学大辞典 (1984) |
岩波書店:理化学辞典 第5版 (1998) |